公判前整理手続

◆公判前整理手続

新聞やニュースの事件を見ていると、重大な事件でもないし、たいしたことがなさそうなのに複雑な問題があって、長い間裁判が続いているものがあります。
場合によっては、かなりワイドショーで騒がれていたのに、「まだ裁判やってるの?」と驚くぐらい後になってから結審していることも。

ほとんどの事件が、凶悪事件であろうと世間の関心を大きく集めた事件であろうと、審理は「地方裁判所」から始められます。
何か月も、何年も続くような裁判に自分が参加するのかと思うと、ちょっと腰が引けてしまいますよね。

また、法律に関しては素人が参加するため、法解釈まで裁判員が勉強するのは不可能です。
そこで、法解釈や、事件の資料整理などは審理前に、裁判官、弁護人、検察官によって行われ、争点のみが裁判員に渡されることになります。
事件の争点や証拠の整理を行っておき、素人である裁判員が的確に事件を把握して意見を出しやすいようにしておくのです。

これを、「公判前整理手続」といいます。

ですから、裁判員になっても、事前に準備することも、勉強することもないですよ、安心して裁判の日にだけ来て下さいね〜というのが、裁判所の言い分です。

確かに、そこまでしてくれるんなら、参加してもいいよ、とも思います。

しかし、公判前整理手続にも問題があります。

本来、事件では、いろいろな角度でいろいろな事象が重なって起きているはずです。
しかし、裁判は、個別の事件ごとに整理されて審理されるため、裁判員が関わる前の段階で、何らかの論点は外されている可能性があるのです。

公判前整理手続は非公開です。
ですから、裁判員はどのような論点が外されたのかを知らされずに、「事実認定」をしなければならないのです。

公判前整理手続は、裁判官の心理的な負担を減らすためにも、もっとも合理的な方法なのですが、
参加させる目的が「一般人を参加させる」という表面上にあるだけのような気がします。
本当に「意見を聞きだす」ためには、本当は事前に資料を渡して、考える時間を与えるべきですよね。
このシステムでは、今までの裁判となんら変わらないのではないかという疑問を残します。

これは、他の事項でもでてきます。
たとえば、評決の仕方があります。
意見が割れた時、多数決で決定しますが、採決意見のなかに必ず「裁判官」が含まれることとなっています。
たとえば、裁判官3人裁判員6人の審議団の中で、「裁判員」6人が無罪だと言っても、「裁判官」が誰一人賛成しなければ、結審しないのです。
国民の過半数が無罪だといっても、法律家がNO!といえばダメなんだ、ということになってしまいますよね。

また、争点が絞られていると、公判中、新たな争点が出てきてしまった時に、どうすればよいのかという決まりがありません。

提示された事件内容を、短期間で審議するという約束で引き受けている裁判員ですので、予定通り期間内で判決を出すと、真実に歪がでる恐れがあります。

結果、「迅速で正確な裁判」という目的が達成できない可能性があります。

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